2013年9月8日

映画『On the Road』

“On the Road”
監督 Wolter Salles
脚本 Jose Rivera
原作 Jack Kerouac
出演 Sam Riley, Garret Heudlund, Kristen Stewart, Tom Sturridge, Viggo Mortensen

Jack Kerouacの『On the Road』の映画化.原作は実は読んでいない.読んでしまったら,こじらせたものが悪化しそうだったので,避けていたのだ(とはいいつつ『惡の華』とか読んでしまっているけれども).で,映画は観てしまった.案の定,病がますますこじれた.

当然,映画化されているものと思っていた.確かに何も起こらないので,映画にはしにくいかもしれない.で,今になって初の映画化である.監督,脚本はそれぞれは『Motorcycle Diaries』のWolter SallesとJose Rivera;『Motorcycle Diaries』は本当に好きな映画だから,同じ監督脚本のロードムービーなら,観ざるを得ないじゃない?

ピリピリと今を生きている.のちに『On the Road』を書く,サルが今この瞬間を書き留めている様子が,これは私の今の記録なんだ,ライブなんだということを伝えてくる.俺たちは今を生きているんだ.火花を飛ばすこの刹那を過ごしているのだ.

孤独で,苦々しいこの感じ;最悪だ.ディーンの刹那的な生き方は,このモヤモヤへの処方としては,安直だけど,憧れる.大麻は無理だけれど,無性に煙草と酒を飲みたくなった.

『Motorcycle Diaries』ほど純粋でなくて,『Into the Wild』ほど童貞感がしない.刹那的で退廃的で,自称ヒッピーには相当「きた」.

Kristen Stewartは『Into the Wild』でもヒッピーの娘の役をしていた.視点や色といった画面の様子は,『Into the Wild』に似ていた気がする.Kristen Stewartはええわ.斜に構えたエロい役が似あっている.満島ひかりと近いと思うのだけれど,どうだろう.

未来は見えなくて,真っ暗だけれど,今ですらどうでもいい.海の底に沈んでいく感じを持っていた.しかし,この映画で今日が少し大切になった.とりあえず刹那的でもなんかしてみようという気になった.旅に出るか.そして,原作を読もう.


9/11

序盤中盤は男同士がイチャイチャしているだけなんだ.カーロも,モデルの人物は歴史的に重要だけれど,この物語では特にいなくてもいい.ロードムービーなのに,価値観が揺らいだりする出会いも特にない.旅の途中の出会いが全然ない.

よいの終盤だけなのだ.終盤の切なさがよいのだ.オールド・ブルー・リーが,ディーンは空虚さを言い当ててたが,そんなこと見てる人は知っている.だから,ディーンに惹かれるのだ.でも,皆去っていく.メリールウもカミールもディーンから去っていく.そして,ディーン自身も.メキシコで最後の享楽の火花を散らせて,病気のサルを残して帰っていく.燃えて,燃えて,燃え尽きたら,続かないのだ,そんな生活は.

しばらく後にニューヨークでサルが再び出会うディーンはみすぼらしくて,かつての輝きを失っていた.でも,それは幸せなことなんだけれど.燃え上がっていたころのディーンを思い,サルはタイプタイターを叩きまくる.

享楽的に生きても,結局それは永遠には続かないし,すべて失われてしまうものなのだ.

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