“On the Road”
監督 Wolter Salles
脚本 Jose Rivera
原作 Jack Kerouac
出演 Sam Riley, Garret Heudlund, Kristen Stewart, Tom Sturridge, Viggo Mortensen
Jack Kerouacの『On the Road』の映画化.原作は実は読んでいない.読んでしまったら,こじらせたものが悪化しそうだったので,避けていたのだ(とはいいつつ『惡の華』とか読んでしまっているけれども).で,映画は観てしまった.案の定,病がますますこじれた.
当然,映画化されているものと思っていた.確かに何も起こらないので,映画にはしにくいかもしれない.で,今になって初の映画化である.監督,脚本はそれぞれは『Motorcycle Diaries』のWolter SallesとJose Rivera;『Motorcycle Diaries』は本当に好きな映画だから,同じ監督脚本のロードムービーなら,観ざるを得ないじゃない?
ピリピリと今を生きている.のちに『On the Road』を書く,サルが今この瞬間を書き留めている様子が,これは私の今の記録なんだ,ライブなんだということを伝えてくる.俺たちは今を生きているんだ.火花を飛ばすこの刹那を過ごしているのだ.
孤独で,苦々しいこの感じ;最悪だ.ディーンの刹那的な生き方は,このモヤモヤへの処方としては,安直だけど,憧れる.大麻は無理だけれど,無性に煙草と酒を飲みたくなった.
『Motorcycle Diaries』ほど純粋でなくて,『Into the Wild』ほど童貞感がしない.刹那的で退廃的で,自称ヒッピーには相当「きた」.
Kristen Stewartは『Into the Wild』でもヒッピーの娘の役をしていた.視点や色といった画面の様子は,『Into the Wild』に似ていた気がする.Kristen Stewartはええわ.斜に構えたエロい役が似あっている.満島ひかりと近いと思うのだけれど,どうだろう.
未来は見えなくて,真っ暗だけれど,今ですらどうでもいい.海の底に沈んでいく感じを持っていた.しかし,この映画で今日が少し大切になった.とりあえず刹那的でもなんかしてみようという気になった.旅に出るか.そして,原作を読もう.
9/11
序盤中盤は男同士がイチャイチャしているだけなんだ.カーロも,モデルの人物は歴史的に重要だけれど,この物語では特にいなくてもいい.ロードムービーなのに,価値観が揺らいだりする出会いも特にない.旅の途中の出会いが全然ない.
よいの終盤だけなのだ.終盤の切なさがよいのだ.オールド・ブルー・リーが,ディーンは空虚さを言い当ててたが,そんなこと見てる人は知っている.だから,ディーンに惹かれるのだ.でも,皆去っていく.メリールウもカミールもディーンから去っていく.そして,ディーン自身も.メキシコで最後の享楽の火花を散らせて,病気のサルを残して帰っていく.燃えて,燃えて,燃え尽きたら,続かないのだ,そんな生活は.
しばらく後にニューヨークでサルが再び出会うディーンはみすぼらしくて,かつての輝きを失っていた.でも,それは幸せなことなんだけれど.燃え上がっていたころのディーンを思い,サルはタイプタイターを叩きまくる.
享楽的に生きても,結局それは永遠には続かないし,すべて失われてしまうものなのだ.
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