2014年6月2日

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2014年5月25日

『一億総ツッコミ時代』

『一億総ツッコミ時代』
槙田雄司
星海社新書
2012年9月初版

作詞作曲ものまねで知られる芸人,マキタスポーツがだれでも評論家である現代の生きかたを指南している.

確かに,今は「総ツッコミ時代」である.ここでいうツッコミとは,評論あるいは批判・攻撃のことである.だれもが評論家であることと他罰的なことは,無関係ではないが,異なることである.

この点をはっきり区別していないのは,問題だと思う.他者あるいは他者の作品を評価するのはいいことだ.インターネットは,評論に溢れている.アマゾンカスタマーレビュー,ぐるなび,ブログ…….評論ブームで,皆がラーメンを食べれば,映画を観れば,良い悪い・好き嫌い以上の分析を始める.人によってはインターネットにそれを書き込んだりする.当然,趣味で好き放題書いている素人の評論は,品質が担保されていないから,稚拙なものが多い;私みたいに.しかし,それは何の問題もない.意見を持ったり,それを発信するのが好きなひとにとっては,そうすることは楽しいのだから.品質が担保されたプロ()の評論家がいるわけだし,素人の評論も数が集まればそれなりに正確になるのだから.

何らかの評価を出そうとして物を見るのと,頭空っぽにして物を見るときには態度が変わってしまうという問題もある.しかし,それは慣れてないだけだと思うのだ.頭空っぽにして見た結果出てきた評価というのが,妥当な評価だと思うのだ.頭を空っぽにして物を見ても,何かしらの評価を出せるようになる必要がある.そのためには,意見を出す訓練をする必要があって,積極的に評論していけばいいと思うのだ.

本書からかなりずれたことを書いてしまった.本書には,評論家きどりへの批判はほとんどない.本書では消費者を「求道層」「浮動層」「受動層」に分類しているが,上記したのは,浮動層から求道層に行く方法な気がする.

『浮動層について批判的に述べてきてしまいましたが,私は浮動層の態度がダメだ,いけないと言っているわけではありません.ただ,ちょっと無理をしているのかな,背伸びしているのかな,と思っているのです.つらいんじゃないかな,と.』p.84

頭を空っぽにして物を評価できないというのが,浮動層なのではないかと思う.頭を空っぽにできないのを本書の言葉でいうと「メタ視点」になるのだろうか?著者が提案するのは,

『ひとつは「ツッコミ志向」から「ボケ志向」になること,
もうひとつは「メタ」から「ベタ」への転向です.』p.8

ということだ.「ベタ」というのが頭を空っぽにするということならが,求道層というのも「ベタ」なのだろう.

著者が問題にしているのは,「メタ」より「ツッコミ」の方である.最初に,批評と非難を区別していないと書いたが,本書では区別されていた.批評が「メタ」に,非難が「ツッコミ」に相当するのだ.安全圏から他人を攻撃するほど面白いことはないから,ツッコミ志向になるのは仕方がないことだ.ツッコミ志向は今に始まったことではないと思う.松本人志は,日本人をツッコミ志向に変えてしまったほどの影響力はない.ツッコミ志向で窮屈なのは,現代だけの問題ではない.でも,「ツッコミ」から離れて話題を生み出す側「ボケ」に回った方がいいでしょということだ.知ってた……と感じましたが,同意です.

2014年5月5日

『パプリカ』

『パプリカ』
筒井康隆
新潮文庫

『パプリカ』
監督 今敏
マッドハウス


筒井康隆によるSF小説と,今敏によるそのアニメ映画化作品.先に映画を観てから小説を読むと,映像のイメージは強いので,どうしてもアニメのキャラクターがイメージされて混同してしまうが,主に原作の感想.

千葉敦子(パプリカ;原作では同一人格なのだ)のビッチっぷりが印象深い.乾副理事長以外の主要な男性のほとんどから寵愛を受けている.そして男性陣は社会的地位が高い.そんな女いねえよと思ってしまう.敦子の地位も高いのだけれど,それはビッチな特性の結果なのか?敦子が同僚の女に殴られる場面で正直ざまあみろと思った.

他者と夢を共有できる大発明DCミニの奪い合いは,権力闘争が原因だ.映画は乾の動機を,不気味な演出の妙でごまかしちゃってたので,話の別の切り口が見えた.

ノーベル賞級の発明をした女性科学者,彼女に蠱惑されたおじさんたち,そんな彼女に嫉妬する別のおじさん.今これを読んだら,「STAP細胞騒動」を連想せざるを得ない.ゴシップ的に作られたキャラクター「おぼちゃん」(実際は知らん)と「パプリカ」を比べると面白い.


2014年4月13日

STAP細胞騒動について

STAP細胞ができた!!という当初の発表の際には,全く興味もなかった.しかし,捏造か?という話になってきてから,ゴシップ好きとしては急に興味が湧いてきたので,ニュースを確認している.

本当にSTAP細胞があるのかどうか,あったらニュース的な意味で面白いとは思う.しかし,現在はないという雰囲気が強い.しかし,小保方博士はあると信じているようだ.

妄想と現実の区別が付かない傾向が強い人なのだろう.推測だけど,ないと思っているものをあると捏造したわけではないのだろう.そこまでする人は馬鹿馬鹿しくて,ゲームに参加しようとしない.あると信じているから,証拠をつくって他人にも信じさせようと思うのだ.

小保方博士が悪意をもって捏造したのかどうかは分からない.悪意のない捏造とは語義矛盾であるが,信じていることに対して都合のいいように事実を捉えたり,無視したり,変更したりすることは,ありふれたことだ.非常に注目されている分野で大発見をして大々的に報道されたから,多くの人が再現実験をしようとしたから,STAP細胞はおかしくないかという声が上がった.しかし,ほとんどの場合,誰も論文なんて精読しないし,まして再現実験なんてされない.悪意なく事実を捻じ曲げて,俺は大発見をした,俺は偉いと信じこんでいる人は相当いると思う.

妄想と現実を区別できない人は,声がでかい.妄想の拠り所は,俺は一生懸命やっているんだという自負に帰着する.熱意があるから,当然声もでかい.声がでかいから,ますます偉くなる.

しかし,私は妄想と現実を区別できないということを,美徳だと捉えている.事実に根拠を求める人は,新しいことなんてできない.妄想であっても,強く信じているから,面倒くさいもやろうと思える.そして,まれにその人の脳内の現実が,他者の現実を侵食することさえある.現実歪曲空間という言葉もあるのだ.

だから,俺は偉いと信じている人は,必要悪だ.小保方博士も,運悪く注目されすぎる発見をしたから酷い目に遭っているだけだ.あいつはとんでもないやつだと非難している人の中にも,熱意で脳内現実を改変している偉い人はいるだろう.彼女もそういう偉い人になれたかもしれない.そして,もしかしたら他者の現実も変えてしまう本当に偉い人になれるかもしれないのだ.だから,STAP細胞はあってほしい.

2014年3月21日

『アルゴリズムが世界を支配する』

『アルゴリズムが世界を支配する』
AUTOMATE THIS: how algorithms came to rule our world
Christopher Steiner
永峯涼 訳
平成25年10月初版
角川書店

序章 ハッカー:新しい帝国を作る人々
第1章 ドミノの最初の一牌目,ウォールストリート
第2章 人類とアルゴリズムの歴史
第3章 ボット トップ40
第4章 ボットの秘密のハイウェイ
第5章 システムをゲーム化しろ
第6章 ドクター・ボットを呼べ
第7章 人類をカテゴライズする
第8章 ウォールストリートvsシリコンバレー
第9章 ウォールストリートが損をすれば他のみんなは儲かる
第10章 未来はアルゴリズムとそのクリエイターのもの

2014年3月9日

『殺人犯はそこにいる』

『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』
清水潔
新潮社
2013年12月初版

2014年2月22日

『武器としての社会類型論』

『武器としての社会類型論 世界を五つのタイプで見る』
加藤隆
講談社現代新書
2012年7月

第1章 五つの社会類型からなる社会類型論
第2章 古代ユダヤ教とキリスト教
第3章 「西洋世界」の危機と「キリスト教」の採用
第4章 「西洋」と「非西洋」

2014年1月26日

『自動車絶望工場』

『自動車絶望工場 ある季節工の日記』
鎌田 慧
講談社文庫
1983年初版

 

2014年1月17日

『All You Need Is Kill』

『All You Need Is Kill』
桜坂洋