『悪の華』
押見修造
1~7巻
少年マガジンKC(Kindle版)
2013年2月初版(7巻)
華が咲いたよ.私の中のクソムシがクソムシなことになった.ページをめくるのが怖いと思ったマンガは初めてだ.
中高生の時分の逃げ場のない閉塞感を見せつけられるのだ.クソムシとは閉塞感のことだ.私も周囲がすべてクソムシに見えてきた.どいつもこいつもクソムシだ.
閉塞感からの逃亡は,見ていてつらいだけのはずなのに,すがすがしさを感じた.しかし,決して逃げることはできないのだ.
遠い昔のこと.今のこと.クソムシな感情を思い出して,ことばにできない.感想の代わりにセリフを引用しておこうと思う.
ねえ春日くん この道はどこへつづいてる? この先で全部死んでる 私は…死にたくない
(Vol.5 p.173)
本当に「向こう側」に行けるなら 私だって行きたかったよ… でもこの世界はどこまで行ったって灰色なんだよ
(Vol.6 p.59)
ずっと叫び声をあげてた 私の下の方の変態が 私にはわからないコトバで叫び声をあげてた 春日くん 春日くんにはねかえって 私その叫び声の言ってることがわかった 聞こえた 「出たい」
「出せ」「出して」「どこ?」「出口はどこ?」「向こう側はどこ?」 でもわかった 向こう側なんて無い こっち側も無い 何も無い クソムシも変態も無い もう……何も無い
どこへ行っても 私は消えてくれないから
(Vol.6 p.148)
クソムシどもッ この町のすべてのクソムシどもッ
さようなら さようなら すべてのクソムシども
死ね 死ね 死ね この町は地獄だ ここで生きるのは地獄だ
誰も聞かない 遠くの 山の向こうで響く あの華の咲く音を誰も聞かない
沈め 沈め ぜんぶ沈め どろどろのぐちょぐちょに 錆びて 腐りきって沈め
……でも でも違った 私もクソムシだ
クソムシの泥の中で他のヤツらと違う方をむいてるだけの 私こそクソムシだ
向こう側は無い
ずっと どこまでもこの町の中で 別の方を向きながら生きていくことしかできない ニセモノの変態
永遠に ずっと ずっと ずっと
クソムシが クソムシが クソムシが クソムシが クソムシが
(Vol.7 p.3)
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