2013年10月2日

『(株)貧困大国アメリカ』

『(株)貧困大国アメリカ』
堤未果
岩波新書
2013年6月初版

プロローグ
第1章 株式会社奴隷農場
第2章 巨大な食品ピラミッド
第3章 GM種子で世界を支配する
第4章 切り売りされる公共サービス
第5章 「政治とマスコミも買ってしまえ」
エピローグ―グローバル企業から主権を取り戻す

アメリカという国は,時代を先んじている.日本も遅くないうちにこうなるのだろうか.

TPPに象徴されるグローバル化の流れは大企業に利することは明らかだが,この流れによって行き着く先の社会はろくなもんじゃない.

日本国内でも,グローバル化は進んでいる.地方都市の国道沿いはどこにいっても同じだ.洋服の青山とすき家とローソンとドトールコーヒーとコジマ電機が,どこでも並んでいる.原色の看板が並ぶ興冷めな光景が,日本中に溢れている.これが世界規模で起こるのだ.

コンビニに個人商店が立ち向かうのは難しい.しかし,フランチャイズ入りすることは,本書に挙げられている養鶏場と同様だ.個人で経営することは,もうできない時代なのだ.

では,大企業の軍門に下ることに幸せがあるのかというと,それも怪しい.企業とは金儲けのシステムであり,そこで務めることはシステムに組み込まれることを意味している.面白くもなんともないよな.どう転んでも不幸だ.積んでいる.

大きければ大きいほど効率がいいだろうし,市場は効率がよいものを選ぶから,市場主義の社会では大企業がますます大きくなる.しかし,そういう社会は活力を失わないだろうか?

日本の未来を予測したければ,アメリカを観察すればいい.日本も巨大企業主体の社会になるだろう.庶民派は1%に搾取されるようになるのか.嫌な未来しか見えないわ.ちゃぶ台がひっくり返るならアメリカでだろうけど,そんなことは起こるのだろうか.

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