2013年11月3日

映画『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』

『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』

本作は,TV版総集編の位置づけの前作の続編である.完全に一見さんお断りの作りであった.それでも,人がすごく入っているから,『まどマギ』の人気には驚かされる.劇場でポスターを取るために写真の前に列ができているのだから,すごいよね.

2時間スクリーンに釘付けになった.観る人を引き込む画面の吸引力が強力であった.『エヴァンゲリヲン』もそうだったが,作画が過剰になってきて,眼で追いかける限界になっている.なにが起こっているのか視認するのも,難しくなってきている.特に,まどマギの魔女の結界の表現は,シュールレアリズム的で抽象的だから,理解が追いつかない.そろそろ,ウォーホールのような表現しない表現といった禅問答的な作画が出てきそうだ.それはちょっとやめてほしいな.

前作で,まどかがキリスト化して,すべての魔法少女を救済した.(キリストは紀元後の人しか救済しなかったが,まどかは全ての時代・時空の魔法少女を救済しているという事実は,なんか面白い.)世界から魔女はいなくなり,魔法少女は魔獣と戦うという世界に書き換えられた.

はずだった.しかし,始まると,魔法少女たちはナイトメアと呼ばれるものと戦っているのだ.まどかが,なぜかいる.マミさんの横には,魔女だったはずのシャルロッテがくっついている.これはどういう世界なのか?前半は,ずっと混乱している.魔法少女5人がスーパー戦隊をしていて,変身シーンでそれぞれ踊り始めたところで,なんじゃこれは?となったよ.

ほむらがこの世界はおかしいと思い始める.杏子とともに,杏子が前にいた街に行こうとするが,辿りつけない.街から出れない.『うる星やつら ビューティフル・ドリーマー』を連想した.この世界は誰かが作る出した夢だ.となると,問題は誰が作った世界か?:これは誰の夢か?ということだ.

観る人も気づくとおり,ほむらが作った魔女の結界なのだ.これを壊しておしまいなら,『ビューティフル・ドリーマー』と同じになってしまうが,ここからがまさかの急展開だった.円環の理となって救済にきたまどかの一部を取り込み,ほむらは悪魔になるのであった.

ほむらが闇堕ちしたみたいな感じになっているが,別にほむらが作った世界は悪くない.全員の願いがかなっている幸せな世界だ.まどかが世界の理を変えてしまったように,ほむらがそれを変えることが悪い理由はない.ほむらの正当性に対する解答は,次回につづくかも.という後に引く終わり方であった.

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