2013年1月30日

『バフェットの謎』

『世界No.1投資家 バフェットの謎 何がその成功をもたらしたのか?』
庄司卓矢
技術評論社



第1章 株式投資と時間の秘密
第2章 成功を支える15の原則
第3章 最良の決定を下すために
第4章 会計の本質を見抜く
第5章 知られざる錬金術
第6章 テロとインフレの脅威を超えて
第7章 バフェット最大の力とは

キャリアポルノをまたついつい読んでしまった.バフェットになんてなれるわけないのにな.恥ずかしいわ.

本書は史上最強の投資家ウォーレン・バフェットの投資法について説明されている.著者は公認会計士ということで,会計の観点からの記述が多くて良い.

バフェットの何がすごいって,その運用成績(44年平均で20.3%/年!?)もそうだが,そのユニークな投資法だ.いわゆるバリュー投資の一つだが,企業の本質的な価値を見抜く眼は,真似のしようがない.我々はバフェットにはなれません,が結論だ.

バフェットの会社バークシャー・ハサウェイは株式会社だ.知らなかったのだが,ヘッジファンドとかでなかったのだ.確かに,ファンドなら満期になればキャッシュを返さなければならないから,株式を持ち続けるバフェット式投資法では運用できない.このバークシャー・ハサウェイの株価が一株1000万円!株式なのに流動性を抑えることで,逆に価値を高めているとのことだ.かつてライブドアは株式を細かく分割して流動性を高めることで株価を吊り上げていたのとは対照的だ.悪い印象のあるマネーゲームをしないということでもバフェットは偉大だ.

株の世界では,配当金を出すということは,その企業は効果的な投資先を見つけられないことを意味しているということだったのか.安定配当を出すことは成長が止まったことを示す.ソニーの配当を批判するこの記事の意味がやっと分かった.

会計というのは,厳密なようで実は結構怪しいものなのだな.数字は嘘をつかないなんて言葉があるが,数字で嘘をつくのも簡単なようだ.社員一人あたりの営業利益が高い会社の方が社員はいきいきしているなんて,ちょっと前私は言っていたが,それも怪しいな.その考えは変わらないけど,表面上の数字を見て判断するのは危険だということを知った.

バフェットは資金を調達するのに保険会社を用いている.保険会社は保険料を先に集め,支払いの理由が出来たときに保険金を払うから,キャッシュを持っている.それを運用資金に当てているらしいのだが,前払保険料をリスク運用するって結構危険なことをしていないか?損が出たら保険金が払えなくなってしまうじゃん.その辺のリスク管理はちゃんとしているのだろうけど,素人目には大丈夫なのかと心配になった.私が保険に入っても,それが危ない運用されていたら,保険金が帰ってこなくなる恐れがではないか.そういえばAIGが経営危機になっていたな.保険会社ってそういうものなのか.怖いわ.

最後に,キャリアポルノ的なバフェットの成功法則を引いておこう.
法則1: お金を失うような行為を避けること
法則2: 「法則1」を忘れないこと
(p.98)
 バフェットが重視するのは「能力の輪("Circle of competence")」という考え方です.
「能力(理解力)が高いかどうか」が問題なのではなく,「自身が理解できるものとできないもの,その境界線をいかに明確にイメージできるか」
それがカギなのだとバフェットはいいます.
(p.104)
「どうすれば,あなたのような投資の意思決定ができるのか?」
毎年のようにバフェットは質問を受けますが,答えはいつも次のようなものです.
「かたっぱしから読むことです」
(p.183)
特に2つ目は重要だ.私が普段思っていることだ.できること,できないことを見極め,その境界上のことに挑めば,できることが広がっていく.なかなか実行できたことはないが…….

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