2013年2月4日

『聖の青春』

『聖の青春』
大崎善生
講談社


3月のライオン』の二階堂のモデルと思われる将棋棋士村山聖の伝記.

なんと純粋で無垢な青年だろう.いいキャラをしている.勝負にひたむきで,強情で,わがままで.愛すべき個性を持った人だ.

師匠もいい.師匠が弟子の身の回りの世話までするとか,ありえへん.一方で,師匠が将棋協会の理事に立候補するとなった際には,全力でサポートするわけで,お互いに支えあっている.美しい師弟関係だ.

愛すべき人ではあるが,将棋以外はどうしようもない.将棋が強いから,周囲の人の支えもあったろうが,それがなかったら不幸だったのだろうな.勝負の世界は,勝ってこそ.才能が全てだ.美談ではあるが,村山聖になれなかったその他大勢のことを思うと,素直に感動できないなあ.

0 件のコメント: