水道橋博士
文藝春秋
まえがき本書は,お笑い芸人の浅草キッド・水道橋博士が芸能界で出会った人々にまつわるエッセイ集である.
そのまんま東
甲本ヒロト
石倉三郎
草野仁
古舘伊知郎
三又又三
堀江貴文 ~フジテレビ買います~
湯浅卓 ~ロックフェラーセンター・売ります~
苫米地英人 ~ロックフェラーセンター・買います~
テリー伊藤
ポール牧
甲本ヒロト 再び
爆笑”いじめ”問題
北野武と松本人志を巡る30年
稲川淳二
あとがき
Youtubeに投稿されていた「博士知らないニッポンのウラ」,「博士の異常な鼎談」シリーズが非常に面白くて,そこから水道橋博士を好きになった.要するにニワカですな.そこに登場した人では以前見城徹氏の本の感想を書いた.あのシリーズが好きだった人には本書は絶対に面白い.
改めて思うのは,ゲストに登場した人々が面白いこと以上に,その人の面白さを見抜き,引き出す著者の技量がすばらしいということだ.
本書に描かれている人々の姿もすごく面白い.
『『藝人春秋』と名付けた本書はこの世から来た「ボク」があの世で目にした現実を「小説」のように騙る――お笑いという名の仮面の物語だ。』p.7著者は内部にいながら,観察者である.あの世に住む人々の姿を我々に伝えてくれるが,それは内部から見たものである.雑誌やワイドショーで見るのは,あくまで外側から見た芸能界の様子だ.本書に書かれていることは内部からしか見えてこないことばかりだ.
そして,観察対象を描くことで,見えてくるのは観察者の姿である.カントを持ち出すまでもなく,見る人は視線の先にある世界に影響を与える.観察者が見た世界の姿とは,観察者そのものである.帯に書かれているように,本書は
『報告文学としての傑作であり,博士の,私小説としての大傑作』である.
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