2012年12月1日

『編集者という病い』

『編集者という病い』
見城徹
集英社文庫

 幻冬舎の社長見城徹氏のエッセイや雑誌の記事を集めたもの.
 下の番組の話が面白かったので,読んでみた.

 

 動画以上の情報はないので,わざわざ読む必要はない.多くの短い記事を寄せ集めただけで,内容が何度も重複しているので,情報量が少ない.
 
 感想.
 なんと過剰な自意識を持った人だろう.これほどまでのことを過剰と言うのか.自意識過剰なんて言葉はもう使えない.
 センチメンタリズムも情熱も体力も,何もかもが過剰でごつい体にパンパンに詰まっている.なんと暑苦しいこと.圧倒的な努力と言うけれど,タイトルにあるようにこの人は病的だ.
 どうしてもやってほしい一つのことのために百をする.割に合わないと普通は思うけど,それでも氏をそうさせるのは,彼の過剰な自意識なのだろう.
 村上隆が『芸術闘争論』で言っていたことと同じことをこの人も言っている.村上氏の表現だと作品に圧力をかけてにじり寄る.見城氏の相手に肉薄して切り結んだ関係になる.成功の秘訣は結局それか.誰でも分かってはいるし,皆言っていることだ.最後は精神論になってしまうわけだ.これが最終回答ということでいいのではないでしょうか.
 自分がいつか死ぬとかを現実のこととして思えたことがないから,そういうのは私にはどうでも良いことだが.限りあるかけがえのない時間を大切にとか思えたことがない.

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