2012年12月9日

『監督と俳優のコミュニケーション術』

『監督と俳優のコミュニケーション術 なぜあの俳優は言うことを聞いてくれないのか』
"I'll Be in My Trailer: The Creative Wars Between Directors And Actors"
ジョン・バダム,クレイグ・モデーノ
シカ・マッケンジー 訳
第1章 俳優に信頼される監督になるために
第2章 していいことと,悪いこと
第3章 感情が出せる環境を作れ
第4章 俳優とはどんな人たちか?
第5章 キャスティングの秘訣
第6章 リハーサルの効果と意義
第7章 クランクイン前のリハーサルについて
第8章 俳優を導くための話し方
第9章 撮影期間のマナーとアドバイス
第10章 俳優に任せることと,させないこと
第11章 演技を引き出すテクニック
第12章 撮影当日のトラブル対処
第13章 見ることと,見られることのインパクト
第14章 クランプアップ後も仕事は続く


 押井守『コミュニケーションは,要らない』で述べられていたところの本来のコミュニケーション,異質なものと付き合って何かを進めていくというコミュニケーションの実践指南が本書である.一般論でなくて具体論を語るときは場面が必要だが,本書は監督と俳優の場合に限定して,コミュニケーション手法について説明している.映画の撮影現場以外の場面でも,本書のノウハウを活用できる所は多いはず.
 映画というのは,絵画や音楽と違って,人間の動きが作品になるから面白い.
 俳優は照明係やカメラマンと異なり,上手につかうのが難しい.演技は内面から出てくるものだから,うまく操っても,それがいいわけではない.トップダウンにやることも出来ないし,かといって好き勝手にさせてもうまくはいかない.そして,傲慢で扱いにくい.厄介な対象と折り合いをつけながら,よい映画にするのは大変だ.
 映画監督には天才はいないというが,確かに俳優とうまくできる人は優秀な凡人にしかできないだろう.

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